吉村恵 mezzosoprano’s diary

オペラ歌手 吉村恵のオフィシャルブログ

METライブビューイング「ロベルト・デヴェリュー」見てきました

映画館でオペラが観れる!しかも今シーズンのニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の公演!

って事で、4/16に上演された作品を映画館に観に行ってきました!

昨年の3月に自分も演奏した作品。大好きな作品。もう一度チャレンジしたい作品。とっても音楽がカッコ良い作品。

ドニゼッティ作曲【ロベルト・デヴェリュー】

やっぱり良い音楽で、好きです。この作品。

ドニゼッティ作曲の女王3部作
「アンナ・ボレーナ」
「ロベルト・デヴェリュー」
の最後の作品。

これはこのプロダクションとは違うけど参考までに。

ドニゼッティ:歌劇《ロベルト・デヴリュー》 [DVD]

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映画にもなってます。

エリザベス1世の最晩期を描いた作品で、一生結婚しなかった女王の悲恋のお話。
反逆罪に問われる恋人ロベルトを救うも、自分を裏切り元恋人で人妻のサラと寄りを戻したロベルトを殺すも、女王次第。
とても人間らしいエリザベス女王の揺れ動く女心が、素晴らしい音楽にのせられて描かれています。

にしても…何度聞いても大変な曲です。
主要キャストの4名がそれぞれに難局をボンボン与えられています。しかも音域が全体的に高め。サラとノッティンガムの二重唱は、何で?と思うくらい2人とも高いんですよ。
しかも一曲一曲が長い…これはベルカント・オペラならではかも。
ベルカント:(美しい歌)を意味する歌唱法。無理のない自然な美しい声で旋律を伸びやかに滑らかに歌うことを目的とする。ドニゼッティベッリーニロッシーニのオペラを「ベルカント・オペラ」と呼ぶことがある。 引用:METライブビューイング2015-16 《ロベルト・デヴェリュー》上映会スケジュールより
始まる前のMETの解説でも言ってましたが、エリザベスを歌い切れる歌手ってどれだけいるんでしょう。音域も広いし、ベルカントのテクニックはちゃんと必要だし、それでいてドラマチックで、しかも歌っている時間の9割は怒ってる。
体力勝負だなぁ。

私自身もサラを演奏してみて分かった事ですが、この作品、歌い慣れるまでに時間がかかるのです。
一難去ってまた一難みたいな感じで、一曲終わると次もまた難曲がやってきて、舞台袖に下がってきた歌手は絶対に溜息を漏らす。
今日の上映を見ても、皆さん流石一流の方ですが、それでも結構必死に歌っているように見えました。あんな所で歌ってる方がそうなんだから、我々が必死で当たり前だなぁと思って見ていました。

主要キャストはみんなに良いところがあってとっても良い役ばかり。
みんな自分の役が好きで、必死に練習していたのを懐かしく思い出しました。

またやりたい演目のひとつです。
大変だったけど楽しかったなぁ。
また今日もこの音楽に触れられて幸せな時間だったな。